はじめに
Web制作の見積もりを取ったとき、会社によって金額が大きく違って驚いた経験はありませんか?「なぜこんなに差があるの?」と疑問に思った方も多いはずです。
その価格差の大きな理由のひとつが、WordPressを使うか、フルスクラッチ開発をするかという開発手法の違いです。どちらを選ぶかで、費用だけでなく納期や将来の運用方法まで大きく変わってきます。
この記事では、Web制作を初めて発注する方にも分かりやすく、それぞれの特徴と選び方のポイントを解説します。
WordPressとフルスクラッチの違いとは?
まず、それぞれが何なのかを簡単に理解しましょう。
WordPress
WordPressは、世界中のWebサイトの約43%が使用しているとも言われるCMS(コンテンツ管理システム)です。ウェブサイトとしての基本的な機能やデザインの枠組みがすでに用意されており、それをカスタマイズして使います。
- すでに完成された基盤がある
- プラグイン(拡張機能)で機能を追加できる
- 専門知識がなくても記事の更新が簡単
- 最低限のカスタマイズでコストを重視した構築も可能
フルスクラッチ
フルスクラッチ開発は、ゼロからプログラムを書いて構築する方法です。LaravelなどのPHPフレームワークを使うことが多く、完全にオリジナルのシステムを作り上げます。
- 設計から開発まですべてオーダーメイド
- 独自の複雑な機能も実現可能
- システムの隅々まで自由に設計できる
- パフォーマンスを極限まで最適化できる
比較表で見るメリット・デメリット
| 項目 | WordPress | フルスクラッチ |
|---|---|---|
| 初期費用 | 30万円〜200万円程度 | 200万円〜1,000万円以上 |
| 開発期間 | 1〜3ヶ月 | 3ヶ月〜1年以上 |
| 適した機能 | ブログ、コーポレート、EC等の一般的なサイト | 複雑なデータ処理、独自ワークフロー、リアルタイム通信など |
| 拡張のしやすさ | プラグインで簡単に拡張できる場合がある | すべて開発が必要 |
| 拡張の自由度 | WordPressの設計思想の範囲内 | 制限なし |
| コンテンツ更新 | 標準で管理画面あり | 管理画面の開発が必要 |
| セキュリティ更新 | WordPress本体やプラグインは自動更新が可能 | 運用保守契約での定期対応が基本 |
| サーバ要件 | 一般的なレンタルサーバで動作する場合が多い | VPS等でサーバの設定から行うほうが理想的 |
| 運用保守費用 | 月額1〜5万円程度 | 月額3〜20万円以上 |
この表からわかるように、WordPressは手軽さと拡張のしやすさ、フルスクラッチは自由度と特殊機能への対応力に強みがあります。
なお、当サイトもプレゼンテーションを兼ねてWordpressを使って構築しています。 通常のウェブサイトに必要な機能が十分に実現可能ということがお分かり頂けると思います。
こんな選び方は失敗します
選択を誤ると、後から大きな問題に直面することがあります。よくある失敗パターンを知っておきましょう。
失敗パターン1:「とにかく安く」でWordPressを選んだ
会員同士のマッチングシステムで、複雑な検索条件や独自のアルゴリズムが必要なのに、費用を抑えるためだけにWordPressを選択。WordPressの仕組み上、適していない機能が多く、動作も重くなり、結局作り直しに。最初からフルスクラッチで設計すべきケースでした。
失敗パターン2:「オリジナルにこだわって」フルスクラッチを選んだ
コーポレートサイトで特別な機能は不要なのに、「他社と差別化したい」という理由だけでフルスクラッチ開発。予算が膨らみ、納期も大幅に遅延。完成後も、ちょっとした修正や機能追加のたびに高額な開発費が発生し、月額の運用保守費用も想定の3倍に。WordPressで十分だったケースです。
判断のための3つの質問

どちらを選ぶべきか迷ったら、この3つの質問に答えてみてください。
質問1:予算と納期に余裕はありますか?
- NO(限られている) → WordPress向き
- YES(十分にある) → フルスクラッチも検討可能
初期費用が5倍以上、開発期間が3倍以上違うことも珍しくありません。現実的な予算と納期を見極めましょう。
質問2:複雑な独自機能が必要ですか?
- NO(一般的な機能で十分) → WordPress向き
- YES(既存の設計では実現できない) → フルスクラッチ向き
例えば、大量データの複雑な検索・フィルタリング、独自のマッチングアルゴリズム、リアルタイム通信、複雑なワークフローシステムなどが必要な場合はフルスクラッチが適しています。一方、ブログ、コーポレートサイト、一般的なECサイトならWordPressで十分です。
質問3:システムの運用保守を継続的に依頼できる体制がありますか?
- YES(長期的な保守契約が可能) → フルスクラッチも可能
- NO(できるだけ保守費用を抑えたい) → WordPress向き
フルスクラッチの場合、セキュリティアップデートや機能改修には開発会社との継続的な契約が必要です。WordPressは自動更新機能があり、コミュニティのサポートも充実しているため、比較的低コストで運用できます。
まとめ:最適な選択をするために
WordPress とフルスクラッチ、どちらが優れているということはありません。御社のプロジェクトに合った選択をすることが最重要です。
改めて選択のポイントを整理すると、
- 予算・納期が限られている、一般的な機能で十分 → WordPress
- 独自機能が必須、長期的な保守体制が整っている → フルスクラッチ
- 迷ったら、まず必要な機能と運用体制を明確に整理する
大切なのは、見栄えや曖昧なイメージではなく、「何を実現したいのか」「どう運用していくのか」という具体的な要件を明確にすることです。
もし判断に迷われているなら、要件を整理した上で、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。私たちは、WordPressでの構築もフルスクラッチ開発も両方に対応していますので、御社のプロジェクトに本当に必要な方法をご提案できます。
お気軽にご相談ください。